すべてのキャンパー一人ひとりの「全人的な成長」、聖書によって示された人格の涵養を基礎とし、キャンプという非日常の体験を通してこれらを具体的に実現する。
広島YMCAの創立準備中の1936年9月に、京阪ワイズメンズクラブのメンバーから贈られたYMCA旗を持って、会員と子ども達を連れて呉婆々宇山登山を行いました。
1938年の広島YMCA創立後、第2次世界大戦をはさみ、戦後復興が進められる1954年に宮島の山城浦に海浜キャンプを開設し、キャンプ事業を開始しました。
その後、1969年に新キャンプ地として湯来町に「YMCAみのち学荘」(現:YMCAコンフォレスト湯来)を開設し、「中四国青少年野外研修センター」として多くの研修やプログラムを開始しました。
1972~1973年には、同センター他を会場に指導者養成事業を開始し、日本YMCA同盟、日本キャンプ協会の後援を受け、キャンプカウンセラー養成講習会を開催しました。
またこの頃、進学事業では学習とキャンプの要素を兼ね備えたプログラム(グリーンキャンパス)を同学荘に開設しました。
1976年には、芸北雲月山麓に6万坪の用地を確保し、「雲月キャンプ場」を開設しました。
以後今日まで、年間を通した定例の野外活動、サマーキャンプ、ウインターキャンプなどを継続して実施し、東広島のブランチにおいても野外事業を展開しています。
現在では年間を通じておよそ22,000人の子ども達が全国各地でYMCAのキャンプを体験しています。
日本のYMCAでは、各地のYMCAで組織キャンプ事業を展開する過程で、日本YMCA同盟が中心となって「YMCA施設拡充計画」の策定(1952年)を行い、各地のYMCAがキャンプ場の建設に取り組みました。
現在では全国20カ所でキャンプ場を運営しています。
日本のYMCAでは、定期的にキャンプ運営のガイドラインの策定を行っています。
1954年にYMCAキャンプディレクター協議会を開催し、「YMCAキャンプ目的7項目」を制定しました。
この頃、文部省も教育キャンプの普及推進を開始し、同省主催による「教育キャンプ指導者養成講習会」を開催し、各都市YMCAのスタッフが要請を受け、同講習会の指導にあたりました。
ボランティアを中心としたリーダー育成も始まり、1957年には、日本YMCA同盟主催で「第1回少年リーダー研修会」を開催しました。
社会の変化に合わせながら各地のYMCAでのキャンプ事業が展開される中、キャンプの施設、プログラム、指導者、安全性などの質的水準の向上とキャンプの社会的評価向上をめざし、「日本YMCAキャンプ・スタンダード」を制定しました。
1982年には、日本YMCA野外活動推進会議が発足し、1984年には日本YMCAキャンプディレクター養成計画をまとめ、ディレクター認定制度を発足させました。
1985年にはキャンプディレクターマニュアルが、1987年にはキャンプリーダーハンドブックが発行されました。
2019年、日本YMCAウエルネス推進会議は、社会の変化に対応するために「日本YMCAキャンプ・スタンダード」の大幅な改定を行いました。
キャンプはさまざまなやり方がありますが、目的によって分けると次の2つに分類されます。
一つは家族や仲間とのレジャーやレクリエーションを目的にするものです。
もう一つは、何らかねらいや目的を達成するための手段としてのキャンプです。
YMCAでは、個人の成長や体験、教育などを目的にしたキャンプを行ってきました。
こうしたキャンプは、指導者がいて、参加者のことを理解し、教育的な目的を達成するために計画されたプログラムがあり、これがきちんと編成されており、Organized Camp(オーガナイズドキャンプ)と呼ばれ、日本では組織キャンプといいます。
広島YMCAでは、YMCAが長年培ってきた組織キャンプの運営方法や指導方法をもとに、野外教育活動を実践しています。