今回は養成講座で日本語学概論をご担当いただいた、開南大学の長友和彦先生にご寄稿いただきました。

 

台湾 開南大学人文社会学院

長友和彦

 

 

 

 もうすぐ四半世紀… !

 

 広島 YMCA 日本語教師養成講座は、誕生からもうすぐ四半世紀を迎えようとしています。地域社会に根ざし、地域社会を支える日本語教員養成という大学などではなかなかできない人材養成を目指してスタートした講座だったと思いますが、私ども講師やスタッフの期待や予想を超えて、地域社会に、そして世界に、多くの修了生たちが活躍の場を求めて巣立っていきました。この人材養成は、足を運ぶたびにいつも心がときめいた私自身の四半世紀でもありました。                      

 この養成講座を当初から支え、どこからでも馳せ参じてくださった講師のお一人にカッケンブッシュ寛子先生という方がいらっしゃいます。日本語教育界のマドンナとして私が憧れ、尊敬している先生です。広島大学で初めてお目にかかったときの緊張感とその緊張感を笑みでほぐしてくださったお姿が脳裏に焼き付いています。今年度、養成講座から身を引かれ、新たな人生の場を求めてハワイに移られるそうです。ハワイは私が青春時代の三年を過ごした土地です。その土地でひょっとしたら再会できるかも知れないという期待感に胸が膨らみます。

 一つの時代が静かに幕を下ろしているようにも感じますが、次の幕が上がる時、養成講座にかけた私ども講師とスタッフの志と夢が新たに蘇るだろうと確信しています。

 縁に恵まれ、私の方は今、台湾の大学で日本語教育(と英語教育)の専門家養成に従事しています。家族共々学ぶことの多い日々を送っています。

 多くの台湾人は、日本、日本人、日本語が大好きです。台湾に関する「なぜ?」という問いかけへの答えは、多くの場合、この事実の中に隠されています。台湾は、今、かつて日本が中国文化を輸入して日本化したように、日本文化を輸入して台湾化しているかのように私の目には映ります。その中で、台湾の日本語教育が健在なのは言うまでもありません。養成講座の受講生や修了生の方と台湾でもお目にかかれないかと密かに願っているところです。

 四半世紀あまりを振り返って、歯がゆく、また申し訳ない気持ちになるのは、今でも養成講座の出口、つまり修了後に選択できる日本語教師の道をはっきりと示すことがなかなかできないことと、日本語教員の社会的地位がまだまだ確立できていないことです。

 しかし、国内外における日本語教育へのニーズや期待、また、それに対する日本語教師の果たし得る役割がこれまで以上に大きく、また多様化していることも事実です。これらの事実と向き合い、そこにある多くの課題を背負いながら、共に一歩、さらに一歩と前に踏み出すことでしか、日本語教師の道は切り開けないんだと今改めて思います。志や夢を共にして広島 YMCA 日本語教師養成講座を立ち上げたときの初心が蘇ってきます。

 

 長友和彦(開南大学)